「くらす」と「いきる」をととのえる

日々の暮らしの小さなことをひとつずつ整えていったら生き方が変わっていく

たからものがはいる、ばしょ

おはようございます、Macoです。

 

今日は、最近出会ったすてきな絵本から感じたことを。

 

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ティモシーのたからもの (ティモシーとサラの絵本) | 芭蕉 みどり |本 | 通販 | Amazon

 

 

芭蕉みどりさんのティモシーとサラの絵本シリーズ、とても好きです。

 

双子のこねずみのティモシーとサラを中心に、家族や仲間たちとの暖かい交流を描いたお話が、優しくて繊細なパステルカラーの絵と共に展開していきます。

 

子供達がお気に入りでよく借りてきてくれるので、寝る前に読んであげるのですが、

これは読めなかった・・・泣いてしまって。

 

 

ティモシーがお友達と水車を作るのですが、

自分のだけがうまく回らずどうしてだろうと色々考えます。

一度は投げ出すものの、やはり諦めきれず、お父さんのアドバイスを受けて本物の大きな水車を見にいき、そこからインスピレーションを受けてついに立派な水車を完成させます。

 

小川で水車を回らせ、幸せな気持ちになるティモシー。

 

つい、うとうと眠ってしまいます。

サラとお友達の声がして、目を覚ますと・・・

水車がありません。

 

どんなに探しても見つからない、水車。

 

サラとお友達に慰められるものの、夜になっても眠れず、

涙をこぼしながらお母さんに

「ぼく、あの すいしゃが わすれられないんだ」

と打ち明けます・・・

 

 

途中まで読んで、この絵本のテーマは「達成したいことに諦めないで取り組む」なのだろうと思っていました。

でも、まさか頑張って作った水車がなくなってしまうなんて!

意外な展開に、谷底に落とされたような気分です。

 

 

しかし、ティモシーのお母さんが、このように言葉を掛けます。

 

 

いまは わすれられなくても いいのよ

ねぇ、ティモシー、しってる?

あなたのなかに、たからものが はいる ばしょが あるのよ

なくしてしまった たいせつなものは、いつのまにか みんな そこに いるの

 

 

これね・・・

 

ティモシーが思考や時間を費やして自分の思いや愛情を大いに注ぎ、

そして自分の元に戻ることはなくなった「水車」が、

あなたにとっては何を象徴するのか、考えてみてほしいのです。

 

 

たとえば・・・

 

幼き日の母のぬくもり

 

何でも話せるこころ許せる友達

 

若き日に仲間と過ごした時間

 

愛し合える人との出会い

 

いつも自分を癒してくれるペット

 

愛する家族と過ごす何気ない休日

 

わが子の頭を撫でた時のやわらかい髪の感触

 

大切なことを教えてくれたあの人

 

 

・・・そして、

そういった思い出や感情を繋いでいるものたちとの、別れ。

 

もう二度と戻らない時間。

 

もう二度と会えない人。

 

そう思うほど、いとおしさが限りなく溢れる。

 

 

そんな対象があるなら、

あなたのこころのどこかに、それをしまっている場所がきっとある。

そんな「こころのひきだし」にあなたは気付いているでしょうか。

 

それらを失った時、

大きな悲しみしか感じることができないかもしれないけれど、

そんな時、このひきだしを開けてみてほしい。

 

そこには、暖かくて美しい、あなたのたからものがちゃんと入っているから。

 

 

悲しさや、寂しさも、ちゃんと受け止めてあげてほしい。

それも、たからものの一部。

それだけ、あなたが愛したという証拠。

 

気のすむまでその気持ちを抱きしめたら、

そのひきだしに入れればよいのかなと思います。

 

 

絵本は、

ティモシーが「たいせつなたからものがはいっているばしょ」にあるものを

回想している絵で終わります。

 

 

とても優しく、感じることも多い、素敵な絵本でした。